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2014年12月

2014年12月18日 (木)

♪"White Christmas"(ホワイトクリスマス)、歌詞と日本語訳

  事情で"White Christmas"を唄うことになった。歌詞は以前から知っていたが、改めて、多少の「背景調査」をして、詩の意味を考えてみた。「いまさら」って感じだが、せっかくだから歌詞と日本語訳を載せておく。
 去る3月以来記事書きを休眠状態にしているのだが、もうすぐ年が暮れる。あまねく発信の場を提供してくれている「ネット神」へのせめてもの罪滅ぼしのこともある。
 話が脇に逸れるが、いずれ新趣向で、活発な記事連載を復活させるつもりでおり、そのための下準備をしているところである。
                             ♪参考資料[歌詞翻訳曲目一覧/ページ相互リンク]

◆◆◆◆◆◆◆◆
 さて、本題。

         White Christmas
                            (w)&(m) Irving Berlin, 1940(?)

(Verse)                                       
The sun is shining, the grass is green,
The orange and palm trees sway.
There's never been such a day
in Beverly Hills, L.A.
But it's December the twenty-fourth,
And I am longing to be up North.

(Chorus)
I'm dreaming of a white Christmas
Just like the ones I used to know.
Where the tree tops glisten
And children listen
To hear sleigh bells in the snow.

I'm dreaming of a white Christmas
With every Christmas card I write.
May your days be merry and bright,
And may all your Christmases be white.


   雪のクリスマス(独自訳)
                       作詞作曲 アービング・バーリン、1940(?) 
(バース)

陽が輝き、草木は緑に茂る。
 オレンジの木が、椰子の木が、風に揺れている。
L.A.、ロスアンゼルス、ビバリーヒルズ、
雪景色なんて・・・、ここでは望むべくもない。
 だけど、今日は12月24日、クリスマス・イブ。
......北の国、故郷に帰りたい。


(コーラス)
雪のクリスマスを偲んでいる。
  故郷の、雪の地のクリスマス・・・。
木々の梢(
こずえ)がキラキラ輝き、
子どもたちは、橇(
そり)の鈴に耳を澄ませる。
  かつて、ずっと過ごしてきたクリスマス。

雪のクリスマスを偲んでいる。
  故郷の人々に、クリスマス・カードを書きながら・・・。
あの人、この人、みんなどうしているだろうか。
「いつまでも、幸せにお暮らしください、
雪のクリスマスの地で、いつまでも・・・」。

◆◆◆◆◆◆◆◆
[周辺情報]
I.
Irving Berin(アービング・バーリン)がいつどこで作曲したかにいついては諸説ある。
 1940年に、カリフォルニア州、ロスの南東200kmほどのところにある温暖なリゾート地La Quinta (ラ・クインタ市/画像)の、「ハリウッド族御用達」みたいなLa Quintaホテルに滞在中に書いた、とする説がある。
 これに対して、アリゾナ州のBiltmoreホテルは、「いや、違う、うちで書いた、彼は滞在中、よく徹夜で作曲していたが、ある日、秘書を呼んで、 "Grab your pen and take down this song. I just wrote the best song I've ever written — heck, I just wrote the best song that anybody's ever written!"(鉛筆を掴んでこの曲を書き取れ、かつてない最高の曲を書き上げたぞ、見ろ、今まで誰も書いたことのない最高の曲を書き上げたぞ」)と言ったのだと主張する(Wikipedia)。

II. この曲を初めて公開の場に披露したのはBing Crosby(ビング・クロスビー)である。 
 1941年のクリスマスの日にNBCラジオで放送された "The Kraft Music Hall"というショー番組で唄ったとされる。この時の録音がBing Crosby遺産として残っており、CBS放送がそれを借り受けて、2011年12月25日の番組で再演したという(Wikipedia)。

 Whxms1_2 クロスビーはその後1942年5月29日に、 "John Scott Trotter Orchestra"楽団と"Ken Darby Singers"というコーラスグループをバックに して、 曲をDecca Records(デッカ)に吹き込んでいる。このレコードは、Holliday Innという映画(後掲)の劇中歌6曲を収めた78回転盤アルバムの一部として7月30日に発売された。 
    →1942年78回転シングル盤(3分2秒)。(Wikipediaから)
         裏面は、 "Let's Start the New Year Right"と、
             "God Rest Ye Merry Gentlemen"

                        

 今日我々が普通に耳にするのは、この時の録音ではなく、1947年の再録音版である。すなわち、マスター(原盤)が摩耗してしまったので、1947年3月18日に、クロスビーが、初回のときの楽団とコーラスグループを使用して、できるだけ忠実に原アルバムのこの曲を再現する意図の下に吹き込んだのだという。イントロ(序奏)をもっと明るい感じにするために、チェレスタ(セレスタ/celesta)とフルートを加えるなど、楽団編成に僅かな変容があるとされる。

 クロスビーによるこの曲の吹き込みは、 シングル盤レコードの発売数で史上最高を記録している(推定5,000万枚)る(Wikipedia)

III.1942年8月公開の米国パラマウント社ミュージカル映画、"Holiday Inn(邦題「スイング・ホテル)で使用された。映画は空前の大ヒット。公開二ヶ月後の10月、劇中歌"White Christmas"がヒットチャートのトップに躍り出て、その座を3ヶ月も保った。実は、製作側がヒットを狙っていた歌は劇中歌12曲のうちの別のものだったのであるが("Be Careful, It's My Heart")、案に相違して、それも多少は流行ったが(発売後1ヶ月ほどはそれなりにヒット)、期待されていなかったこちらが大ヒットとなった。

 映画の主役を演じ、この歌を唄ったのがビング・クロスビー。説明不要の御大だが、先に述べたように劇中歌6曲をデッカに吹き込み(映画公開直前だね)、これが大ヒットした。
クロスビー自身も、最初はこの曲を大した曲じゃないと思っていたんだそうだけどね。
  「まあ、いいんじゃないの」("I don't think we have any problems with that one, Irving.")
 作曲者にこういったといわれているんだけでそうだけどね。

 まあ、それはともかく、
 Whxms2 時、あたかも第二次世界大戦真最中、
 「かつて、ずっと過ごしてきたようなクリスマス」("just like the ones I used to know")、 
 「木々の梢(こずえ)がキラキラ輝き・・・」("where the treetops glisten")、
 といったような、「家庭の温もり」を想定させる哀愁が、人々の心を、特に
前線の兵士たちの心を捕えた。
 軍ラジオ放送(Armed Forces Radio Service/AFRS)から、ヒットチャート1位のこの曲が毎日のように流れる・・・、たまるもんか。
  各地の基地放送局には、故郷に想いを致す前線の兵士たちからのリクエストが殺到した。 
                                    ↑米軍1945 V-Disc。 クロスビーの "White Christmas" と "I'll Be Home for Christmas"; No. 441B(Wikipedia)
                                             
  *V-Diskとは第二次世界大戦中に兵士の戦意高揚のために米国政府がレコード会社の協力の下に 兵士たち
                                                               に配ったレコード。"V"は"Victory"の"V"を表わしている。


 同じく、1954年の同社ミュージカル映画"White Christmas"(ホワイト・クリスマス)でも使用されている。この映画も大成功を収めた(Wikipedia)。

IV.映画'Holiday Inn
 Whxms4_2 祝日だけにオープンするホテルについてのミュージカル映画構想をIeving Berlinが出し、パラマウント・ピクチャーズ社がそれに乗った。 1940年5月、バーリンはその映画のための歌を書く独占契約を同社と交わした。映画は、アービング・バーリン原作、ビング・クロスビー、Fred Astaire(フレッド・アステア)主演、Marjorie Reynolds (マージョリー・レイノルズ)、Virginia Dale(バージニア・デイル)助演、Mark Sandrich監督で1941年11月から1942年2月まで撮影。1942年8月、ニューヨークのPramount Theatre(パラマウント劇場)で公開。アメリカとイギリスで成功し、当時のミュージカル映画の中で最高の興行収入となる。(Wikipedia)
                  →1947年Paramount Pictures社映画

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[筋のさわり}
  ある年のことである。
 クロスビー演じる主人公「ジム」/Jim Hardyは、パートナーを務めている女性歌手役者兼恋人、「ライラ」/Lila Dixon (Virginia Dale)と、男性ダンス役者、「テッド」/Ted Hanover(Fred Astaire)の三人で組んで活動して、ニューヨークの夜の世界で人気を博していた。
 12月24日、ジムはその日の公演を最後にショウ・ビジネスから身を引き、ライラと結婚して、コネチカット(隣接州)で農場経営を始めようしている。

 だが、土壇場になって、ライラは、ショウの道を捨てきれないこと、テッドに恋したことを自覚する。ライラは、「ニューヨークに残り、テッドのパートナーとしてやっていく」とジムに告げる。ジムは傷心を抱えてコネチカットに行くが、農場は失敗する。

 一年後の12月24日、クリスマス・イブに、男はニューヨークにやってきている。農場経営は手に負えないことが分かったので、農場を止め、休日だけ開くリゾート施設に切り替えていくという計画を胸に持っている。名は、Holiday Inn(ホリデイ・イン)とするつもりだ。ジムは、その計画をテッドやそのエイジェント(日本でいう「マネージャー」)「ダニー」Danny Reed)に語った。テッドとダニーは計画をあざ笑うが、「グッドラック/幸運を祈ると」告げて別れた。

 その後、ダニーは、空港のフラワーショップで、テッドの依頼により、ライラへ花束を届ける手配をした。ショップの店員「リンダ」Linda Mason(Marjorie Reynolds)は、その客がタレントのマネジャーをやっている男だということに気付き、ショウビジネスへのきっかけを与えてくれと言い寄る。ダニーは「ホリデイ・イン」の計画を話し、そこに行ってみたらどうかと勧めると共に、テッドがやっているナイトクラブへの招待券を与えた。

 その夜、リンダはナイトクラブの席にジムと一緒に座っている。ジムは豪華ナイトクラ経営者を装い、ライラやテッドのような大物を雇うことを考えていると語る。他方、リンダは、貴婦人であり、テッドの友人であると騙るが、ライラとテッドが席にやってこようとしたので慌てて退散する。
  翌朝、クリスマス当日、リンダはHoliday Innにやってきた。そこでジムに会い、二人は、昨夜互いに嘘をつき合っていたことを認める。ジムは、娯楽リゾート施設をニューイヤーイブ(大晦日)にオープンしようとしているのだと語る。二人は、すぐに、お互いに好きになる。ジムは新しく作った歌、"White Christmas"、オープニングの夜に唄う予定でいるという歌をリンダに唄って聴かせた。
  ニューイヤーイブ、Holiday Innは大盛況でオープンした。

 物語はこのように始まり、その後、何やかや、ゴタゴタが続くが、最終的に、翌年のクリスマス・イブに、ジムがハリウッドにやってくる、リンダもその地にいるのだが、そういう場面になる。
 そこで、雪のクリスマス、コネチカット、ないしニューヨーク、ないしその周辺のそれを偲んで、ジムがこの歌を唄うのである。

V.落とされたバース
 元来はバース(verse/前奏/序奏)付きの曲である。
(Verse)                                       
  The sun is shining, the grass is green,
    The orange and palm trees sway.
    There's never been such a day
     in Beverly Hills, L.A.
    But it's December the twenty-fourth,
    And I am longing to be up North-


(Chorus)
  I'm dreaming of a white Christmas


 歌詞は、先の"Holiday Inn"映画の物語との関係で付けられたものであろうが、すなわち、主人公は、東部、積雪地コネチカット州からハリウッドに来ており、雪のクリスマスを懐かしんでいるのであるが、クロスビーはバースを省略した。 
   *映画の粗筋については、「スイング・ホテル」についてのWikipedia記事を参照されたい

 この歌はその後もクロスビー自身や他の大勢の歌手によって吹き込まれているが、女性数名を除いては、同様に省略されている。
 
  そう、ない方がいいね。付けると、詩が軽薄になる。
 ハリウッドだの何だの、――野望と挫折だの何だの―、そんなこた関係なしで、およそ、北の国から雪のない温暖地に越してきた人々の、故郷、雪のクリスマス、「ホワイト・クリスマス」、「銀白色のクリスマス」を偲ぶ心、幼児期、少年期の想い出を、懐かしみを謳ったものだとすればいい。

 北海道の、青森の、秋田の、岩手の、東北の、関東信越、北陸、山陰の・・・雪の地の、クリスマスを、
   いや、いや、違う!! 
   お正月、お正月だ、雪のお正月を偲んでいるのである。

   あの人この人に年賀状を書きながら。
    "With every Christman card I write........"

■White Christmas ― ビング・クロスビー、1942年オリジナル録音

White Christmas ―↑上の1942原録音の,1947年再現版

 

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